サーバの仮想化は時代の要請
ここ数年、企業における仮想化の導入がまるで必然かのように流行しています。その要因は、サーバの統合、電力/ハードウェアの削減などによるコスト削減、そして環境への配慮などが挙げられると思います。
VMware ESXiに続き、Citrix社によるXenServerのエントリー版となるExpressが無償化され、さらにはこの4月からはその上位バージョンも無償提供されることになり、仮想化の世界では、さらに熾烈な覇権争いが続いています。
以前から定評のあったXenですが、特にAmazon EC2/S3のクラウドサービスで用いられている実績により、さらに評価が高まったと言っていいでしょう。
個人的には、XenServer4.0 Expressに続き、XenServer 5.0の評価も行っている所で、従来ファイル/プリンタサーバ、DNS、SSH、FTP、メール、Webなどのサーバ運用を3台に分けて行った所を、1台の物理サーバに統合した事で、効率よい運用が実現しています。一説では、“サーバの稼働率は10%〜20%”と言われており、1CPUで4台程度であれば、あくまでも机上の計算となりますが、ピークの使用率が80%ということで、さほど支障なく運用できるという目安となっていたりするようです。Citrix社が公表しているVMware ESXiとの比較表でもそのスペックの差からすると、これからサーバの仮想化に取り組むのであれば、XenServerはかなりオススメと言えるでしょう。
本格化するデスクトップの仮想化
さて、一方で、デスクトップの仮想化は、かれこれ10年前にVMware社がVMware Workstationをリリースし、私もRed Hat 6.2上の仮想化環境でWindows 2000を動かして、そこそこ便利に使ってはおりました。しかし、わざわざLinux Desktop上の仮想環境で動かすメリットがありませんでした。開発環境においては広く用いられてきましたが、世の中一般に、多数受け入れられるものではありませんでした。
しかし、ハードウェアの価格の大幅な低下と同時に、有り余るCPUパワーを手に入れられるようになって、企業においてもデスクトップの仮想化が本格化しつつあります。コンプライアンス、セキュリティの観点からローカルにデータを置かず、シンイクライアント的に用いる試みも始まっているようです。特に、価格面で、クライアントはネットブックが魅力的に映るのは、当然と言えるでしょう。
このデスクトップの仮想化、XenServerでももちろん行えるのではありますが、やはり使い勝手の点ではVMwareに一日の長があるようです。ただし、VMware ESXiは無償とは言え、高いハードウェアのスペックを要求されます。また、XenServer同様に1台のハードウェアを専用の仮想化サーバとして割り当てなければなりません。
現状で無償で利用できて使いやすいデスクトップの仮想化ソフトはVirtualBoxとなるでしょう。日本語化もされていますし。
しかし、VMware Server 2.0には、他にはないメリットがあります。
個人利用、SOHO、部門使用で便利なVMware Server 2.0
実は、VMware Serverは日本語化されておらず、最初はとてもとっつきにくいものかも知れませが、次のようなメリットがあります。
- Ubuntuデスクトップ版にインストールして稼働させることで、Ubuntuを普段使いのOSとしながら、必要な時に、Windowsなど複数のOSを利用できる。
- 仮想のOSは、FirefoxなどのWebブラウザ上で表示して操作する。サーバで大半の処理を行い、クライアントは画面表示を行うだけ。したがってまるで”ニ人三脚のように”負荷を分散しながら処理が行われる。クライアントのマシンスペックは低くてもOK。
- 一度作った「仮想マシン」(拡張子=.vmdk)をコピーして簡単にクローンが作成可能。バックアップも容易。この「仮想マシン」ファイルは、VirtualBoxでも読み込んで使用可能。
1.については、VirtualBoxと同様な使い方となりますが、2.は「Server」という名が付くだけあって、とても便利です。特に、複数のOSを常時起動させておいて、必要な時にWebブラウザで好みのサイズで表示させることができる点は、実際に使ってみるとその利便性を実感できることでしょう。
今回の特集では、VMware Server 2.0のインストールを中心に解説します。
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VMware Server 2.0とは
2006年7月に無償の仮想化サーバ製品として、VMware Server 1.0がリリースされて以来、2年を経て、2008年9月にバージョン2.0がリリースしています。 このVMware Serverは、2001年に有償で販売され多くの導入実績があるVMware GSX Serverのアーキテクチャを引き継いでおり、複数の仮想マシンを構成して、同時平行で実行させることが可能になっています。
バージョン2.xでは、Webベースの管理インタフェースに変更。これにより、ローカルはもちろん、ネットワーク越しに管理/制御が簡単に行えるようになっています。同時に、仮想マシンユーザ向けには、カスタマイズ・リモート・コンソールURLの作成機能もあります。 その他の主な特長は、次の通りです。
- 対応するゲストOSの種類も大幅に増加。
- ゲストOS間や仮想化レイヤ間におけるコミュニケーションを可能にする仮想マシンインタフェースをサポート
- USB 2.0デバイスをサポートし高速な転送が可能に。
- ゲストOSへ割当可能なメモリ容量が8GBまで拡張
- ゲストOSへ割当可能なプロセッサが2つまで拡張
- 64ビット互換 CPUを使っている場合、ゲストOSに64ビットゲストOSを利用可能
VMware Server 2.0のダウンロード&インストール
VMware Serverの入手には、まず下記URLにアクセスします。
http://www.vmware.com/jp/download/server/
- 「VMware Server 2.0」の「ダウンロード」をクリック。
- 現れた画面で、「Register for your FREE Download」に、姓、名、メールアドレスを入力します。
- 次に現れる画面で、住所などを英語で記入し(適当でOK)、登録を行います。
しばらくすると、記入したメールアドレスに、案内メールが送られてきます。
メール内にある、「Activate Now」ボタンをクリックすると、個人用のページが表示され、そこにシリアルナンバーが記載されていますので、保存しておきます。
- 同ページの下部にある「For Linux」からThe core application needed to run VMware Server 2.」の「TAR image」をダウンロードします。
- ダウンロード終了後、ダブルクリックすると書庫マネージャが起動するので、解凍してできあがった「vmware-server-distrib」フォルダを、自分のホームディレクトリに移動しておきます。
- 「アプリケーション」>「アクセサリ」>「端末」を開き、下記の通り、コマンドを入力します。
cd vmware-server-distrib/
sudo ./vmware-install.pl
インストールは英語での問いかけに対して「Enter」キーを押すことで、答えていきます。 以下の「例外事項」を除いて、その他の質問には、すべて「Enter」キーでOKしていきます。
例外事項1、ライセンスへの同意
- ライセンス事項が延々と表示され、「Enter」でページめくりをしていく部分があります。
- そのあとに、ライセンスへの同意を求められるので、yesを意味する「y」を入力します。
例外事項2、管理者の特定
上の画像にある、 「The Current administrative user for VMware Server is ” “. Would you like to specify a different administrator?」 =現在のVMware Serverの管理者は、”(誰も設定されていない)”さんです。 他の管理者を特定したいですか?・・・という質問に対しては、「yes」と入力します。
Ubuntuでは、管理者特権を持つユーザ=「root」を設定しません。 ここで、そのまま「Enter」してしまうと、VMware Serverの管理画面にアクセスできなくなってしまいます。
続いて出てくる質問、 Pleas Specify the user whom you wish to be the VMware Server administrator (VMware Serverの管理者としたいユーザを特定してください) この質問に対しては、「自分のログインアカウント」を入力します。
例外事項3、シリアルナンバーの入力
上の画像の下部分にある通り、シリアルナンバーの入力を求められたら、あらかじめ入手しておいたシリアルナンバー(Linux版用)を入力します。
この画面のように、コマンド・プロンプトが出たら、インストールが終了です。
VMware Server 2.xの起動
VMware Server 2.xでは、1.xの様にアプリケーション・メニューにはアイコンが表示されません。 正にサーバとして、機能します。 Firefoxから、下記の通り入力します。「https」となることに注意。
https://localhost:8333
初回は、セキュリティに関するアラートが出ます。
- 「例外として扱うこともできます」をクリック
- 「例外を追加」をクリック
- 「証明書を取得」をクリック
- 「セキュリティ例外を承認」をクリック
これにより、ログイン画面が現れます。
インストール時に設定したVMwareの管理者アカウント=自分のログインアカウントのID、パスワードを入力し「Log In」ボタンをクリックます。
VMware Serverの管理画面が現れます。
下準備:LiveCD、インストールCDイメージの置き場の指定
まず最初に、下準備として、LiveCDや、インストールCDイメージを貯めておくディレクトリを指定しておくと便利です。 実CDからインストールする場合には、この工程は省いて構いません。
- 右上にある「Commands」の「Add Datastore」をクリック。
- 「Directory Path」のところで、イメージファイルの置き場所のパスを入力しておきます。
仮想マシンを組み上げる
- さっそく、仮想マシン(=ゲストOS)を作成していきます。
- 自作でパソコンを組み立てた経験がある人ならば、すんなりわかりやすいことでしょう。
- 経験の無い人でも大丈夫。ウィザードにしたがって行けば、簡単です。
- この例では、OpenSuseをゲストOSとして仮想マシンを組んでいきます。
- 右上にある「Commands」の「Create Virtual Machine」をクリック。
- 「Name」にゲストOSの名前を記入します。
- 「Next」をクリック
- インストールしようとするOSの種類をリストから選びます。
- ゲストOSに割り当てるメモリの量を指定します。
- 画面には、推奨のメモリ量が表示されます。
- ホストとなるパソコンの仕様によっては、CPU数を複数指定することも可能です。
- 「新しい仮想ディスクの作成」が選ばれているので、Nextを。
- Capacityのところで、好みの容量を入力します。
- 標準では、ゲストOSの使用状況に応じて増えていく形となっていますので、多めに指定しておいた方がいいでしょう。
- ネットワークに接続させる場合には、そのままNextをクリック。
- 仮想ゲストOSに独自のIPアドレスを割り振るには、「Bridge」を選びます。
- CD/DVDドライブの選択です。
- ホストの実物のCD/DVDをそのままゲストOSで流用する場合には、「Use a Physical drive」を選びます。
- isoなどのイメージファイルをCD/DVDドライブとして用いる場合には、「Use an ISO Image」を選びます。
- ゲストOSのインストールが終了した後で、実ドライブへの割り当てとして変更することが可能です。
- 「Use an ISO Image」を選んだ場合、ISOファイルの置き場を指定します。
- 下準備で用意しておいたディレクトリが表示されるので、ISOファイルを選択します。
- フロッピードライブに関する指定項目です。
- USBを用いる場合、「Add a USB Controller」を選びます。
- VMware Server 2.0からUSB2.0に対応するようになりました。USB機器は2つまで接続可能です。
- 最後に設定の一覧が表示されます。
- 修正したい項目があれば、「Back」ボタンで戻って修正します。
- ここで設定した項目は、後から修正可能です。
ゲストOSの起動
- ゲストOSを起動するには、管理画面の上部にある、”緑の三角ボタン”をクリックします。
これで仮想マシンの電源がONとなります。
- 起動の状況は、管理画面の下部に表示され、「Status」が「Success」となれば問題ありません。
ゲストOSの稼働状況を画面で確認する場合、「Console」タブをクリックします。
- 初回は、画面のように、プラグインのインストールを促されます。
- 画面上の「Install Pulug-in」をクリックします。
- 画面上部にアラートが出るので「許可」をクリックします。
- FireFoxのアドオンとしてプラグインがインストールされます。
- Firefoxの再起動後に、コンソール画面のどこかをクリックし、しばらく待つと実際のゲストOSの稼働状況が画面に表示されます。
VMware Toolの追加インストール
軽量なLinuxディストリビューションを動かす場合には、そのままでもかなり使えますが、重量級のLinuxの場合、とても遅く感じてしまいます。 マウスの動作、グラフィックスの描画性能を格段と向上させるのが、「VMware Tools」。
管理画面の右上の「Status」欄に、「VMware Tools」にある「Install VMware Tools」をクリック。
インストールの確認画面で「Install」をクリックすると、ゲストOS内に自動的に仮想のCDがマウントされます。
ゲストOSがWindowsの場合、現れたツールをダブルクリックして、ドライバのインストールの要領で、インストールすればOK。
ゲストOSがLinuxの場合、FedoraやSuseなどの「rpm」パッケージに対応しているディストリビューションの場合、「.rpm」ファイルを右クリックして、パッケージ・インストーラーなどでインストールを。
Ubuntuを含めて「rpm」パッケージに対応していないディストリビューションをゲストOSとして動かす場合には、「.tar.gz」形式で圧縮されているツールを、ダブルクリックで解凍して、コマンドでインストールします。
- 解凍すると「vmware-tools-distrib」というフォルダができあがります。
- 端末から、この中の「vmware-install.pl」を管理者権限で実行し、一問一答式で「Enter」で答えて行けばOK。
仮想マシンの構成の追加/変更(音が鳴るようにする)
上記の手順で仮想マシンにOSのインストールを終えて、そのまま再起動すると、再び仮想CDから起動してしまいます。
「Hardware」の「CD/DVD Drive」のアイコンをクリックして、「Edit…」を選びます。
現れた画面で、「Physical Drive」を選びます。「Access the drive directly」を選べば、仮想マシンが、実ドライブを直接使用するようになります。
ちなみに、ここで「Client Media」を選択すると、クライアント機で仮想マシンを操作した際に、クライアント機に搭載されているドライブを用いるようになり便利です。
さて、仮想マシン構築のウィザードでは、サウンド・デバイスの設定が漏れています。 管理画面右の「Commands」にある「Add Hardware」をクリック。
「Sound Adapter」を選びます。
画面で現れるままに「Next」をクリックし、サウンドアダプタが追加されたことを確認して、「Finish」をクリックすれば、音が鳴るようになります。
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